令和6年度 企画展「本をめぐる文化―江戸時代の本屋と読者たち―」
江戸時代は、商業としての出版が行われるようになり、庶民も含め多くの人が様々な本を手に取ることができるようになった、出版文化が花開いた時代とされています。江戸には出版を手掛ける多数の書肆(本屋)が存在し、多岐にわたる本が世に出されました。文化の中心であった江戸に近い現在の埼玉県域では、こうした文化の影響を大きく受けており、文書館に収蔵されている文書群の中にも今に伝えられてきた数多くの本(典籍)が含まれています。
本展示では、江戸時代を中心に出版に関わる歴史を概説し、文書館収蔵の典籍資料の数々を紹介するとともに、当時の人々の本との関わりをひもときます。
1.会 期 令和7年2月1日(土曜日)から4月27日(日曜日)まで
2.会 場 県立文書館 1階 展示室2
3.開 室 日 火曜日から日曜日まで
※但し、月曜日・国民の祝日及び2月28日(金曜日)は休館
4.開室時間 午前9時から午後5時まで
5.観 覧 料 無料
6.展示構成
はじめに 本を読む人々
江戸時代の本の挿絵や錦絵などには人々が本を読む姿を描いたものが多く存在し、生活の中で本が身近な存在であったことを窺わせます。これらの絵を通して、当時の人々の読書の様子を紹介します。
主な展示資料
麻疹養生伝(はしか絵)(小室家文書6369-3)
第1章 花開く江戸の出版文化
中世以前の日本では1枚の板に文字や絵を彫って刷る木版印刷が大半を占め、担い手も公的な権力や寺社によるものでした。近世前期には「古活字版」といわれる活版印刷の出版が盛んになるものの、寛永頃からは再び木版印刷が主流となり、書肆(本屋)による商業出版が京都、大坂に続いて江戸でも活発に行われました。江戸時代の出版文化を概説するとともに、江戸時代初期から中期を中心に代表的な書肆を紹介します。
主な展示資料
北条時頼開分二女桜(小室家文書2475) ある人のたづね 下(奥貫家文書3203)
第2章 江戸の本屋が手がけた作品
文化の中心が江戸へ移っていき、江戸での出版も京都、大坂をしのぐようになりました。書肆(本屋)の数も大きく増加し、出版される本も学術書から、娯楽用の本まで多岐にわたりました。江戸中期頃からは学術的な本を扱う書物問屋、江戸で特に盛んであった娯楽用の絵入り本(地本)の出版を手がける地本問屋という書肆の区分も出てきます。代表的な江戸の書肆が出版した本や錦絵を紹介します。
主な展示資料
吉原細見五葉松(小室家文書3392) にせ紫いなか源氏二編 下冊(橋本明氏収集文書3273)
金近着緒締善玉(足立家文書1030)
第3章 近世埼玉県域の人々と本
江戸時代の出版文化が発展した背景の一つに、本を読む人々が増加したことがあげられます。蔵書として本を所有する、貸本屋で借りて読むなど、様々な形で人々は本に親しみました。また、中には自身の著作の出版を試みる人もいました。収蔵資料からわかる近世の埼玉県域の人々と本の関わりを紹介します。
主な展示資料
万書籍出入留(野中家文書1925) 歌道用諸覚書巻之一(付蔵書目録)(林家文書2419)
おわりに 近代埼玉県域の本屋
明治時代になると埼玉県内でも出版を手がける業者が登場するようになりました。収蔵資料のうち、埼玉県の出版社から発行された本を通じて、近代の埼玉県域の出版について紹介します。
主な展示資料
童蒙習字本(野口(泰)氏収集文書37)
【開館時間】
午前9時~午後5時
【休館日】
・月曜日(県民の日に当たるときは、その翌日)
・毎月末日(令和6年6.8.11月の末日は開館)
・祝日
・年末年始(12月29日~翌1月3日)
・特別整理期間(令和6年5月15日~24日、11月19日~28日)