企画展「菩多尼訶-本草学から植物学へ-」

 菩多尼訶展ロゴ

                                       菩多尼訶展-チラシ-.pdf

 江戸時代、自然を対象とした研究は「本草学」と呼ばれ、そのなかから「博物学」や「医学」など、様々な学問が発展していきました。植物を研究する「植物学」も、本草学から派生した学問のひとつです。

 本企画展では、埼玉県立文書館が収蔵する資料の中から、近世の本草学に関する資料や、近代植物学に関する文書資料を中心に紹介します。

企画展配布パンフレットはこちら→ボタニカパンフレット.pdf 

企画展の動画を作成しました。こちらからどうぞ(Youtube)

 

1 展示概要

(1)会  期 令和5年6月6日(火曜日)から10月1日(日曜日)まで

(2)会  場 県立文書館(さいたま市浦和区高砂4-3-18)

(3)休 館 日 毎週月曜日と国民の祝日

        及び6月30日(金曜日)と8月31日(木曜日)

(4)開館時間 9時から17時まで

(5)観 覧 料 無料

(6)交通案内 JR浦和駅西口下車徒歩15分、JR中浦和駅下車徒歩18分

(7)その他

  ・資料保護のため、展示資料は会期中に頁替えを行います。

  ・状況により、臨時的に休館又は内容が変更となる場合があります。

 

2 みどころ

・牧野富太郎にも影響を与えた宇田川榕菴

 宇田川榕菴の著した『菩多尼訶経』や『植学啓原』は、牧野富太郎をはじめ、近代植物学研究に多大な影響を与えました。展示する文書館収蔵の『植学啓原』(小室家文書)は、榕菴から比企郡番匠村の医師小室元貞に送られたもので、由緒のわかるものです。

 ・実物資料から植物学普及の歴史をかいまみる

 江戸時代から伝わってきた書籍や、近代に教科書として使われてきた書籍を、「植物」という一つのテーマに絞って考えることの出来る展示となっています。

 

3 展示構成

第1章:植物学の誕生~宇田川榕菴の仕事~

~美作国津山藩(現岡山県津山市周辺)の藩医を勤めていた宇田川榕菴は、文政5年(1822)に『菩多尼訶経』、天保6年(1835)に『植学啓原』を著しました。第1章では、『菩多尼訶経』『植学啓原』のほか、我が国における植物学の祖と言われる宇田川榕菴の著作を紹介します。

 

 上から『植学啓原』(小室家文書3954)、『菩多尼訶経』(小室家文書4063)

 

第2章:植物へのまなざし~本草学のひろまり~

~本草学において、植物は食べ物や薬として研究対象となりました。さらに江戸時代には、植物の栽培・改良などを行う園芸文化も花開きました。

 

上から貝原益軒『大和本草』(小室家文書3933~3942)、豊原国周「三十六花草の内 百合」(小室家文書6370-6)(ただし、「三十六花草の内」はパネル展示)。

 

第3章:植物学の普及と教育

~宇田川榕菴による西洋植物学の紹介以後、植物学は広まりをみせていきます。明治時代になると、我が国の植物層を解明するために多くの植物学者があらわれました。

上から田中芳男・小野職愨撰『有用植物図説』(図書A470ユ)、三好学『中等教育植物学教科書』(飯塚家文書5780・5781)。

 

 〈主な展示資料〉

  宇田川榕菴『菩多尼訶経』(小室家文書4063)

  宇田川榕菴『植学啓原』(小室家文書3954)

  [宇田川榕菴書状](小室家文書1124-18)

  『重訂本草綱目(武林銭衙本)』(猪鼻家文書2637)

  貝原益軒『大和本草』(小室家文書3933~3942)

  豊原国周「三十六花草の内 百合」(小室家文書6370-6)

  『救荒本草』(奥貫家文書2695・2696)

  田中芳男・小野職愨撰『有用植物図説』(図書A470ユ)

  三好学『中等教育植物学教科書』(飯塚家文書5780・5781)