お知らせ

企画展「古物を伝えるメッセージ―好古家たちの埼玉―」を開催いたします。

 「好古家」とは、江戸時代後期から明治時代にかけて、古文書などの古物に関心を寄せ、それらの収集や研究に打ち込んだ人々のことです。埼玉県にも、比企郡番匠(ばんじょう)村(現ときがわ町)の小室元長(こむろげんちょう)や、大里郡冑山(かぶとやま)村(現熊谷市)の根岸武香(ねぎしたけか)など、多くの好古家が活躍しました。

 本展では、文書館が収蔵する資料の中から、好古家たちが集めた古文書や、好古家たちにまつわる資料を「集める」「調べる」「伝える」の三つのテーマを立てて紹介し、古物と対話しながら活動した人々のまなざしと、好古家たちが後世へ遺したもの(メッセージ)、伝えてきた想いについて御紹介します。

 

2021企画展古物を伝える図録.pdf

 

1 企画展の概要

(1)会  期 令和3年12月14日(火曜日)から令和4年2月13日(日曜日)まで

(2)会  場 県立文書館 1階 展示室

(3)開 室 日 火曜日から日曜日まで

       ※但し、期間中毎週月曜日及び祝日(2月11日)と、12月

        29日(水曜日)~1月3日(月曜日、年末年始休業日)は休館

(4)開室時間 9時から17時まで

       ※開室時間中に正面玄関から入館してください。

       ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、検温、手指の消毒、

        観覧者カードの提出などに御協力ください。

(5)観 覧 料 無料

(6)アクセス JR浦和駅西口下車徒歩15分、JR中浦和駅下車徒歩18分

        ※駐車台数に限りがあるため、公共交通機関を御利用ください。

 

 2 展示構成と見どころ

  プロローグ

Ⅰ 集める  ~収集~

 好古家たちは、コレクションとしての古文書や、地域の歴史を探る記録などを収集・筆写していました。本章では、好古家たちが集めた中世文書をはじめとした、様々な史料を紹介します。

 主な展示資料:太政官牒(小室家文書5695)、北条氏邦書状(小室家文書5700)

【見どころ】北条氏邦書状など、好古家の収集した中世文書7点を展示します。

Ⅱ 調べる  ~研究~

 好古家たちは、古物を収集すると同時に、それらの調査・研究を、好古家たちのネットワークを通して進めていました。本章では、研究者としての視点で好古家を紹介していきます。

【コラム】武蔵武士「畠山重忠」と好古家

 主な展示資料:エドワード.S.モースからの感謝状(根岸家5256)

【見どころ】遺跡発掘などに携わった根岸武香と交流のあったE.S.モースや松浦武四郎に関する資料3点を展示します。

Ⅲ 伝える  ~伝来~

 好古家たちが集めたものは、様々な経緯を経て現代へと伝えられてきました。本章では、近代以降の文化財保存という視点にたって、好古家たちの動向を紹介します。

【見どころ】根岸武香らが発掘に携わった吉見百穴の保存に関する資料を展示します。 

 主な展示資料:意見上申書(百穴保存ニ付)(根岸家3532)

  エピローグ

 

3 展示点数

  約70点

 

4 その他

 御来館にあたっては、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策に御理解と御協力をお願いいたします。

 状況により、休館及び会期変更の可能性があります。御来館前に当館ホームページで最新情報を御確認ください。


 主な展示資料

 

1 永久5年(1117)2月20日「太政官牒」  

 [小室家文書5695 (県指定文化財)]

 

 文書館が収蔵する最古の古文書です。太政官牒とは、古代律令官制における太政官から、直接の管轄外へ出された公式様古文書の一つです。内容は僧侶の任命に関するものとみられます。本文書は比企郡番匠村(現ときがわ町)の医家だった小室家の文書として伝わりました。小室家の五代小室元長は好古家として知られており、本文書も元長が収集したものと考えられます。

 

2 [天正11年(1583)]5月17日「北条氏邦書状」

  [小室家文書5700 (県指定文化財)] 

 

 戦国大名北条氏の一族で、鉢形城(寄居町)の城主であった北条氏邦が出した書状で、越後国での戦いにおいて忠節を尽くした赤見入道の戦功を伝え、所領を与えるよう、当主へとりなした内容のものです。本文書は小室元長が、浅草の古物商とのやりとりの中で入手し、小室家文書中に伝わりました。

 

3 明治16年(1883)10月22日「エドワード.S.モースからの感謝状」

 [根岸家文書5256 (熊谷市指定文化財)]

 

 大森貝塚を発掘調査したことで知られる、アメリカの動物学者エドワード.S.モースが、大里郡冑山村(現熊谷市)の根岸武香から、武香が採集した土器片をもらったことに対する感謝状です。根岸武香は好古家として多くの文化人と交流を持っていました。

 

  4 明治21年5月「意見上申書(百穴保存ニ付)」

   [根岸家文書3532 (熊谷市指定文化財)] 

 根岸武香は土地の地主として吉見百穴(吉見町)の発掘調査に協力した上、その保存にも力を入れました。本文書は根岸武香と、同じく土地の地主である北吉見村(現吉見町)の大沢藤助の連名で、宮内省に提出された百穴保存の上申書の控えです。

 

企画展「古物を伝える―好古家たちの埼玉―」チラシ.pdf