令和2年度 もんじろうかわら版

令和2年度 もんじろうかわら版

R2-6『埼玉県史料叢書』第23巻「小室家文書二」を刊行しました!

 埼玉県立文書館で行っている事業の一つに史料編さんがあります。史料編さん担当は、本県の歴史や文化に関する重要な記録史料を読みやすく、かつ分かりやすいように翻刻・編集をして、『埼玉県史料叢書』として刊行することを最大のミッションとしています。

 

 その一端として、このたび第23巻「小室家文書二 四代小室元貞日記」を刊行いたしました。本書は、平成30年度に刊行した第22巻「小室家文書一 三代小室元長日記」の続編にあたり、比企郡番匠村(現ときがわ町)で産科の医師として活躍した小室家第四代目当主が記した日記24点を収録しています。

 

 23巻の表紙

 

 

22巻と23巻

 

 小室家文書は、小室家に伝わった総点数6377点及ぶに文書群で、近世・近代における県内在村文化の成熟度を示す史料群として学術的価値が評価され、埼玉県指定有形文化財となっています。

 

第23巻に収録した元貞の日記(一部)

 

 小室家四代目当主小室元貞の日記は、天保3年(1832)から、天保11年(1840)までにの23冊と、安政5年(1858)の元貞最晩年に記した1冊の、計24冊が残されていて、本書にはそれらをすべて翻刻し、収録しています。

 これらの日記からは、元貞の本業とする医療や門人の育成に関する記事のほか、番匠村の村政や村人たちの生業、生計、さらには年中行事や通過儀礼に関することなど、多様な内容が記録されていて、当時の医療活動はもちろん、山間農村の一年を通した生活をつぶさに読みとることが出来ます。

 

 23巻の内容

 

 ぜひ本書をお手に取っていただき、埼玉県の奥深い歴史に触れてみてください。

 

『埼玉県史料叢書』は既刊のものを含め、県立図書館をはじめとした県内公立図書館などで閲覧できるほか、埼玉県県政情報センター(県庁衛生会館1階)で有償頒布もしております(23巻は税込み2,117円)。地域史研究や生涯学習にぜひご活用ください。

(こまさん) 

R2-5 地図教室で彩湖へ行ってきました!!

 令和2年11月8日(日)、地図教室「彩湖へ行こう」を戸田市にある彩湖自然学習センターと荒川第一調節池にて開催し、講義と野外実習を行いました。参加者は定員20名のところ、1名が欠席し19名でした。

 昨年の地図教室は台風19号の影響で中止となっており、関係者一同、無事の開催を強く希望していた行事でした。当日の天気は薄曇りでしたが、お昼にむかって青空が広がる晴天となりました。

 野外実習に出かける前に、荒川上流河川事務所の天井講師から、荒川の概要と連続堤防建設や二瀬ダムの建設といった、これまでの治水対策の歴史、そして、現在実施中の治水対策と今後の課題についてお話をいただきました。また場所を変えて、彩湖を模した大型模型を活用して、彩湖の治水と利水の仕組みの解説を受けました。

 その後、屋上へと移動し、彩湖の全景を見ながら航空写真や地形図を用いて彩湖の建設前地形とその後の変遷を学習しました。

 講義のあとは、今回の地図教室のメインである野外実習に出発しました。行程は彩湖自然学習センターから横堤や荒川旧流路の三日月湖、戸田ヶ原自然再生エリアなどを経て、さくら草公園と昭和水門までの約5.6㎞です。

 途中のポイントごとに、当館の学芸員が解説し、参加者も熱心に聴いていました。

 また、荒川旧流路の三日月湖を利用した道満フィッシングパークでは、かつて荒川堤外地に居住されていた方からお話を伺うことができました。当時の生活ぶりや洪水で家が流されたときのお話など、実際に体験された方にしか語ることのできない、大変貴重な体験談でした。

 

青空の見える彩湖 参加者は自分の足と目で彩湖・旧河川跡の地形を実感しながら、学芸員の解説を熱心に聴いて、彩湖の治水・利水について学習していきました。

 そして、誰も怪我をすることなく、約5.6㎞の道のりを楽しみながら歩き切り、ゴール地点である、さくら草公園と昭和水門に辿り着きました。

 

 

 

 

 

 最後に、コロナ禍中にもかかわらず御参加いただきました皆様、講師の天井先生、当館の地図教室開催に御協力を頂きました彩湖自然学習センター、荒川上流河川事務所の皆様に厚く御礼を申し上げます。

 

R2-4 歴史講座「報道写真でふりかえる埼玉の戦後史」を開催しました!

 令和2年10月31日(土曜日)、歴史講座「報道写真でふりかえる埼玉の戦後史 ―復興から高度経済成長、そしてオリンピックへ―」を文書館講座室にて開催しました。

ソーシャルディスタンスを確保した会場 ソーシャルディスタンスを確保した会場

 

 立教大学名誉教授の老川慶喜先生を講師にお招きし、2月に刊行した『埼玉県史料叢書21 埼玉新聞社撮影戦後報道写真 フィルムのなかの埼玉 1947-1964』に掲載した写真をみながら、終戦から高度経済成長による社会の大変動のなか、前回の東京オリンピックへといたる本県の戦後史について御講演いただきました。

講師の老川先生

講師の老川慶喜先生

 

 当時の風景や人々の姿を鮮明に映し出した報道写真に加えて、本県出身の老川先生の体験に基づいたエピソードも含めたわかりやすいお話で、御参加の方々にも御好評をいただきました。

 川口で鋳造された旧国立競技場聖火台についてのお話

 川口で鋳造された旧国立競技場聖火台についてのお話

 

 今後も『埼玉県史料叢書』の内容や本県の歴史・文化に関連した講座を企画して参りますので、ぜひ御参加ください!

  埼玉新聞社撮影戦後報道写真も展示している、企画展「編さんのお仕事 ―史料編さんの四半世紀―」は当館展示室で11月20日(金曜日)まで開催中です。

企画展「編さんのお仕事」紹介ページ

 

 本県の戦後史を生き生きと映し出した懐かしい写真が多数掲載されている『埼玉県史料叢書21 埼玉新聞社撮影戦後報道写真 フィルムのなかの埼玉 1947-1964』は文書館閲覧室をはじめ、県内の公立図書館などでも御覧になれるほか、埼玉県県政情報センター(県庁衛生会館1階)、県内の教科書販売取次店で販売もしています(税込み2,090円)。ぜひお手に取ってみてください。

有償刊行物一覧(県政資料コーナー)

 (S)

R2-3 2階休憩コーナーに『埼玉県史料叢書』を紹介する展示を更新

もんじろう: 

 文書館では令和2年2月、『埼玉県史料叢書』第21巻「埼玉新聞社撮影戦後報道写真 フィルムのなかの埼玉1947-1964」を刊行したもん!

 2階休憩コーナー『埼玉県史料叢書』の紹介展示も更新したもん! 

 

 

 

 

 『埼玉県資料叢書』は、埼玉県に関する古代から現代までの重要な史料を活字化した史料集です。

『埼玉県史料叢書』について、過去に刊行したものなどの詳細はこちらをご覧ください。

 

 

『埼玉県史料叢書』第21巻「埼玉新聞社撮影戦後報道写真 フィルムのなかの埼玉1947-1964」は、埼玉県全域を対象とする日刊紙『埼玉新聞』を発行してきた埼玉新聞社が撮影し、当館に寄贈された資料群「埼玉新聞社撮影戦後報道写真」のなかから、一部を厳選して掲載したものです。

 

 

     

「埼玉新聞社撮影戦後報道写真」の総点数は、50万コマ以上に及びます。本書に掲載したのはそのうち、終戦後間もない昭和22年(1947)から東京オリンピックが開催された昭和39年(1964)までに撮影された512点の写真です。

 


もんじろう:

 むかしの埼玉県の様子がよくわかるもん!

 お友達のコバトンも興味津々だもん!  

 

 

もんじろう:

 本の内容の一部は、文書館のホームページにデジタル展示をしているもん!

 

 デジタル展示はこちらです。

 

 

 

 当館では現在、事前予約制というかたちで、2時間以内での閲覧業務を再開しています。利用時間も限られた中ではありますが、当館をご利用の際には、ぜひ2階休憩コーナーの『埼玉県史料叢書』の展示もご覧ください。

 

 『埼玉県史料叢書』は当館閲覧室だけでなく、県内の公立図書館などでもご覧になれるほか、埼玉県県政情報センター(県庁衛生会館1階)で販売し、県内の教科書販売取次店では取り寄せ販売も行っています(税込み2,090円)。ぜひご活用ください!

(コマさん)

 

R2-2 古文書整理・保存作業2

今回は、「古沢家文書」の資料整理作業についてご紹介します。

資料を適切に管理するために、約30,000点にものぼる「古沢家文書」の資料1点1点に番号を振り当て、情報を読み取り、目録を作成します。

しかし、書状はいわゆる「くずし字」で書かれていることが多いので、丁寧に読み取っていきます。

分からない文字に出会ったときは辞書で調べたり、学芸員各々の知識を持ち寄って資料とにらめっこをしたりしてます。

 

 

根気の要る作業ですが、目録を作成することによって資料群全体の構造や資料それぞれの内容を知ることができ、当館の資料検索システムですぐに検索ができるというメリットがあります。

 

作業中の「古沢家文書目録」は令和3年3月中の刊行を予定しています。

目録を作成した後、資料は封筒に入れて保存します。

当館では、資料の保存に適した中性紙封筒を使用しています。

中性紙は、通常の封筒に使用されている酸性紙より耐久性が高く、さらに紙の酸化を防ぐ・埃から資料を守る等の効果があります。

 

 

作業後の資料は保存箱に収め、保存庫にて大切に保存・管理をしています。

ちなみに、この保存箱も中性紙で作られた特注品です。

 

 

当館では、地域の歴史や人々のくらしを物語る貴重な古文書の整理・保存をしながら、古文書の魅力を伝える取組を行っています。

少しでも当館の学芸員の業務を知っていただければ幸いです。(海)

R2-1 古文書整理・保存作業1

現在、当館は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、当面の間、臨時休館していますが、

資料の整理・保存作業等を継続的に行い、開館に向けた準備を進めています。

ここでは、準備の様子を少しずつお伝えしていきます。

 

今回は、現在進行中の「古沢家文書」の整理・保存作業をご紹介します。

 

古沢家は、江戸時代に大里郡大麻生村(現熊谷市)地域の名主を務め、明治時代に郡区町村編制法が施行された際には、大麻生村を取りまとめる戸長として活躍しました。

当館に寄託された約30,000点にのぼる「古沢家文書」は、当時を生きる人々の様子を現代へと伝えてくれる貴重な資料です。

 

 

作業風景の一コマです。資料保護と新型コロナウイルス感染症対策のためにマスクを着用し、一定の距離を設けてコツコツと作業をしています。

次回は、作業の手順をご紹介します。(海)