平成31年度 もんじろうかわら版
R1-4 『埼玉県史料叢書』紹介展示、はじめました。
『埼玉県史料叢書』は、『新編埼玉県史』(昭和54年〔1979〕~平成3年〔1991〕刊行)に分量が多かったために掲載できなかった史料や、県史の編さんが終了した後に新しく発見された重要史料を、体系的に編集・発行するものです。文書館では1年に1巻ずつ発行し、現在、第1巻から第20巻までと第22巻を発行しています。(第21巻は令和2年2月発行予定です。)
展示では、平成30年度に刊行した『埼玉県史料叢書22 小室家文書一』を紹介しています。「小室家文書」は、比企郡番匠村(現ときがわ町)に居住し、代々産科の医師として活躍した小室家に伝わった古文書であり、平成29年3月には「小室家資料」の名称で、7,622点の資料が県指定有形文化財に指定されました。
本書は、江戸時代の文政9年(1826)から嘉永4年(1851)までに小室家三代当主小室元長が記した日記25冊と、小室家の医術などを記した参考史料8点を収録しており、小室元長が近隣の村々から遠方の村々まで往診に出掛ける様子や薬の製法、一家で外出する様子など、多種多彩な内容となっています。
当館文書閲覧室・地図閲覧室・展示室にお越しの際は、2階休憩コーナーの『埼玉県史料叢書』の展示も是非ご覧ください。
『埼玉県史料叢書』は当館閲覧室だけでなく、県立図書館をはじめとした県内公立図書館などでご覧になれるほか、埼玉県県政情報センター(県庁衛生会館1階)での販売もしています。地域史研究や生涯学習にぜひご活用ください。(T)
吉本富男当館元館長が御逝去されました
当館の参事兼館長であった吉本富男様が、令和元年6月28日に御逝去されました(享年93)
心より御冥福をお祈り申し上げます
吉本富男元館長は、昭和44(1969)年に埼玉県立図書館文書課として当館が発足した際に課長として赴任されました。以後15年間にわたり、文書館としての独立、現在の新館舎の新築・移転など、文書館の発展に御尽力されました。
この間、埼玉県地域史料保存活用連絡協議会(埼史協)や全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)設立の中心となり、それぞれ会長等を歴任されました。
また、埼玉県議会史、新編埼玉県史、埼玉県行政史や多くの市町村史の編さんに携わられるとともに、埼玉県地方史研究会会長を務められるなど、埼玉県の地域史研究をリードされました。
R1-3 「埼玉の“ふみくら”-古文書から日本の歴史を見る-」開催中!
「埼玉の“ふみくら”-古文書から日本の歴史を見る-」開催中!
6月25日(火)から9月1日(日)まで、文書館1階展示室で「埼玉の“ふみくら”-古文書から日本の歴史を見る-」を開催しています。
※展示替えがありますのでご注意ください。
展示室の環境を資料保存に適したものとするために必要な期間を設け、4月2日(火)の再開館からおよそ3か月、いよいよ展示室もリニューアルオープンです。
静かにオープンを待つ展示室
サブタイトルにある“ふみくら”とは、書物や文書を納める書庫や文庫を表す古い言葉です。この展示では、埼玉県域のそれぞれの家や寺社などの“ふみくら”に伝えられ、現在は文書館に収蔵されている資料を展示し、江戸時代を中心とした日本の歴史をたどる内容となっています。
万国地球輿地全図 平川家1857(前期のみ展示)
歴史は古文書の一通一通から解き明かされるということを再確認し、江戸時代の埼玉県域に生きた人々に思いをはせていただきたいと思います。
また展示を見た多くのみなさまに、現代の“ふみくら”である埼玉県立文書館の活動への御理解をいただければ幸いです。(ザラメ)
R1-2 記念シンポジウムを開催しました!
去る5月21日、当館主催の「文書館開館50周年&リニューアル記念シンポジウム」を、埼玉会館小ホールにて開催しました。
当日は大雨で足元の悪い中、大変多くの方々にお越しいただき、心より御礼申し上げます。
小ホールのホワイエでは、「埼玉県立文書館のあゆみととりくみ」と題し、パネル展示を行いました!
現在、こちらのパネルは文書館1階廊下および文書館ホームページで御覧いただけます。
【パネル展「埼玉県立文書館のあゆみととりくみ」】
【文書館を紹介】
記念講演では、国文学研究資料館長のロバートキャンベル先生から「蔵の中には小宇宙 ~江戸から明治の“ふみくら”を開く~」を御講演いただきました!
1時間の御講演ではありましたが、時が過ぎるのがあっという間に感じられるほど、興味深いお話でした。
その後、休憩をはさんでパネルディスカッション「“ふみくら”を開く-時代をつなぐ記録資料の世界-」を行いました。
慶應義塾大学経済学部の松沢裕作先生、東京大学文書館の森本祥子先生、行田市郷土博物館の鈴木紀三雄館長をパネリストにお招きしました。
コーディネーターは当館副館長が務めました。
【ディスカッション風景】
パネリストの皆さんからは、それぞれのお立場での経験を踏まえた興味深いお話を伺うことができました。
こちらは2時間を超える長丁場でしたが、あっという間でした!
御来場の皆様、長いお時間お付き合いいただきありがとうございました。
このシンポジウムで、記録資料の面白さや大切さを存分に感じ取っていただけたものと思います。
より多くの皆様に、記録資料を実際に手に取って御覧いただける当館の閲覧室にも是非足をお運びいただきたいと思います。
今後とも埼玉県立文書館をよろしくお願いいたします。(ザラメ)
R1-1 新規採用職員に「埼玉県の沿革」の講義を行いました。
毎年4月、新たに埼玉県職員になった新規採用職員のために、県の行政を担う職員として必要な知識や制度を学ぶための新規採用職員研修が行われます。
新規採用職員研修のなかで、公文書や古文書を保存・活用し、『埼玉県史料叢書』などの埼玉県の歴史に関する書籍を刊行してきた埼玉県立文書館が「埼玉県の沿革」を担当しています。今年も先頃、講義を行いました。
「沿革」の「沿」とは「前に因って変わらないこと」、「革」とは「旧を改め変わること」という意味です。新たに採用された職員に、これからの仕事のフィールドとなる埼玉県について、長く変わらないこと、変わってきたことという、歴史や文化を学んでもらおうという内容になっています。
講義のなかでは、埼玉県の地勢、文化財、輩出した人物、文献が残される以前の先史時代から現代までの歴史などについてお話しし、文書館の業務内容や、明治時代から埼玉県庁が作成してきた公文書が「埼玉県行政文書」として国の重要文化財に指定されていることなどにも触れました。
新規採用職員のみなさんにはぜひ「埼玉県の沿革」の内容を今後の仕事に生かし、また文書館も利用いただきたいなと思います。
実は、文書館は県政においてこんな役割もになっているのです。(S)